残り5センチ
拓海の手が頭から離れ、また小テストに取りかかった。
ちょっと寂しい気もするけど…。
って、何考えてるんだろ、私!
「ね、ねぇ。
ここどうやるの?」
変なことを考えないように、ムリヤリ思考をテストに集中させた。
けど、この質問は間違ってたかも…。
「ん?
どれ?」
私が指さした問題を見るため、拓海が近づく。
「……っ!」
私と拓海の距離。
残り5センチ。
でくっつきそうだった。
「た、拓海…。
近…」
「え?
だって柑奈がここわかんないって言うから…」
「そ、そうだけど…」
選択肢を誤った!
これじゃ、自爆するようなもんじゃん!
「…ちゃんと聞けよ?
これは―…」
拓海は離れようとはしないまま、説明を初めていく。
…拓海が近くにいるのは嬉しいけど…。
この状況じゃ、説明なんて耳に入ってこない…!