空ノ向コウ



私は全ての話を聞き、今までの母と父の態度を思い返し
やっと現実を理解した。




といってもやっぱり小さい私には
癌の恐ろしさも、死という意味もまともに理解しきれなくて
「お母さんが死んじゃう」くらいでしか分からなかった。


けどそれでも十分だった、とても怖く悲しくて、涙が枯れ果てるほど泣いた。



でも泣いても泣いても涙は枯れなくて、
「お前の気持ちはその程度なのか」と誰かに責められている様な気持ちになって、
余計悲しくてもっともっと泣いた。父も泣いた。二人で声を出して泣いた。



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