空ノ向コウ


『もう一年…いや半年も持つか分からないんだ。』

父は大粒の涙をこぼしながら
『ごめんな、ごめんな』と繰り返した。



まだ幼い私にも、[癌]という病気が恐ろしい事
そしてこの部屋の空気が異様な事くらいすぐに分かる。


でもその時は全てが嘘だと、冗談だと信じたかったんだ。
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