空ノ向コウ
お別れ
『・・・え?嘘・・・』
姉が固まる。
『あはは・・・綺麗に逝ったよ・・・お前らに最後あって欲しかったなぁ・・・』
涙を我慢して無理やり笑おうとする父。
私はまだ温かい母の死を受け入れられずに、
黙って心臓に手をあて、また動き出す事に最後の期待を込め続けた。
だけどそんな事をしても無駄だった。何も変わらなかった。
『ごめんね・・・お母さん・・・死んじゃったんだ』
また父が謝った。あの日と同じ大粒の涙をこぼしながら。