空ノ向コウ

当たり前じゃない当たり前



私達は知らなかった。全然知らなかったよ。

「ちょっと具合悪いから」なんてはぐらかされても、深い事なんて考えられなかったし、まさか癌だなんて思わなかったよ。

すぐ帰ってくると思ってたよ。



だから私と姉は二人の帰りを今か今かと待ちわびてたんだ。




夜遅く、父が一人で帰ってくるとも知らずに。
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