キラリ
――何でもないなら元気の無さそうなそぶりも見せなきゃいいのに。



高校に入学した頃から、輝姫はいつもこんな感じなのだ。


わざとこちらに「どうしたの?」と尋ねさせるような真似をする。



友人と言えど鬱陶しくなり、一度、輝姫のそんな様子をひたすら無視してやったときなど

何度もうつろな目で溜め息をついたり、私が話し掛けてもうわの空だったりで、遂には

「ごめん、私ちょっと悩んでる事があって、それどころじゃないから」

と自分から言い出した。


うっかり「悩みって?」と尋ねると、案の定

「何でもない」

と答えた。
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