インターバル

何度もあればすぐ慣れる



“二度あることは三度ある”



三度あることは四度でも五度でもありそうだ。……いや、あり【そう】ではなく私の今の状況は正にそれである。


時を遡ること(多分)数分前。
出来立ての栗ご飯をペロリとたいらげどこへともなくフラフラと廊下歩いていた私の足を止めたのは玖成さんと、玖成さんの部屋に入っていっている【カメ】だった。


私に話があるらしい。
玖成さんは私も部屋へ入るようにと促し部屋に入ったのを確認すると、戸をしめた。

すると聞こえるボンっという爆発音。


振り向いた先にはカメなどおらず真っ白なひげが魅力的なお爺さんがそこにいた。…………もう驚くまい。

玖成はお爺さんの横に座り、私は2人の前に座った。


「さて、弥国というたかの?ワシは亀導(きどう)という名じゃ。みなには亀のじい様と呼ばれておる。そのまんまじゃがのう。玖成には、じいと呼ばれとるがなぁ……まあ、好きに呼ぶとよい。」


フォッフォッと穏やかに笑うじい様。よろしくお願いしますと挨拶をすると礼儀正しくてよいなと言いながら頭を撫でてくれた。…………和む。


「じい、そろそろいいか?」


「おお!すまんすまん、“つい”なぁ……」


「……色々聞きたいこともあるだろうが、まず、この世界の話をしよう。」


じい様が頭から手を離すと玖成さんは私の方へ向き、しっかりと目をみて話し始めた。


「気付いているかもしれないが、ここは弥国の住んでいた世界ではない。……ここは姿を変えて生活する者たちが集まる場所……とでも言おうか。」


『姿を、変える?……じい様とかせいちゃんみたいなってことですか?』


「そうだ。……入り口はあるが場所は特に決まってない。……いつ、どこに出来るかわからないからな。誠汰を抱えていたことで、たまたま迷いこんでしまったんだろう。」


『神隠しってことですよね?……そんなことって本当にあるんですね……。』


「ああ。そしてここには、先程いったように誠汰やじいのように動物から人型に姿を変えるものが住んでいる。……そのほとんどが機能は人間と変わらないが、中には人間界で【モンスター】や【妖怪】と言われている者になるものもいる。」


「そうじゃなぁ……例えばコウモリの奴らは皆【吸血鬼】であったり、蛇のやつらの中には…あれ、なんじゃったかな、め、どぅ……」

「メデューサ……」


「そうじゃ、それじゃ!……になるものもおるよ。」


ここのことを詳しく説明してくれる2人。普通ならありえないことを聞いて頭がパンクしそうになるが、補足をじい様がしてくれる。

その姿が親子に見えたため少し笑う。

私が笑ったことを不思議に思ったのかどうかしたかと尋ねられたため、仲が良いと思ったことを伝えると、玖成は両親を小さい頃に亡くし、教育係であったじい様に育てられたのだと言った。


『ごめんなさい。』


「なぜ謝る?もう昔のことだ、気にしていない。それに、じいに育てられたから、こうして皆をまとめることができているんだ。」


『ん?……まとめるってことは玖成さんは王様!?』


「王と言うより、この世界の主じゃな。」


『えっと、それじゃ、この世界のトップ2とお話してるってことですよね?』


「そうなるが…気は使わなくていい。名前にさんは付けず敬語もやめてくれないか?」


『いや、でも……』


「こやつの望みを聞いてやれ、弥国。これから少なくとも数日は共に過ごすんじゃから。」


『あ、入り口がわからないからしばらくお世話にならないといけないんですね……。そうします。』


「ありがとう。」


『えっと、それじゃあこれからよろしくね!玖成!』

『玖成くんだね!よろしく!』


「っ…………ああ、よろしく。」
『?どうしたの、大丈夫?』


「ああ、大丈夫。少し昔を思い出しただけだ。……また分からない事があれば聞くといい。外で誠汰が待っている。遊んでやってくれないか?」


『わかった。ありがとう!』


少し様子がおかしい玖成が気になったが、本人が大丈夫といっているから大丈夫なんだろう。

玖成とじい様に挨拶をしてから立ち上がり戸を開けると、今日の昼のように耳を塞ぎたくなるような声で、私の名前をよび、せいちゃんは飛び付いてきた。

なんとか倒れないように持ちこたえるとすぐにせいちゃんは私から離れ、遊びに行こうと私の手をつかみ走り出した。


私が部屋を出たあとに、じい様と玖成が何を話していたかなど知るよしもない。


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