一途な彼女 × 不良な彼氏
呼び止める猇くんの声を無視して、
あたしは全力で走った。
走って走ってついた場所は、
ここ最近聖夜と一緒に
昼食をとっていた空き教室。
しばらく食べれないの我慢してたのに…
なんで聖夜は……。
そんなことを考えていると、
電話が鳴った。
表示を見ると、聖夜の名前。
出ないのもあれだと思って、
一応電話に出る。
「…………なに?」
自分でも驚くくらいの低い声。
『悪い幸。俺全然幸の気持ち考えないで。猇に全部聞いた。今どこにいる?一旦一緒に話そう。』
優しい声…。
でもあたしは……。
「ごめん。今は会いたくない。」
『は?幸?』
聖夜が喋っていたにもかかわらず、
あたしは電話を切って、電源も切った。
今は、声も聞きたくないから。
ごめん…ごめんね、聖夜。