放送部からお伝えします
もうここには誰も居ない。

声を出しても大丈夫。



「お腹減った……。すき焼きどうなったの……? あたしの分は……? 順が全部食べちゃったかも……」



「足痛いよぉ、しびれた……。お風呂入りたい……。髪今どうなってんの……?」


「てかなんであたし……? ……あの事件のこと? 竜也が奴らに怪我させた……?」



「竜也は……理由もなしにそんな事しない……。あたし知ってるもん、竜也が優しいこと。みんな、知ってるもん……。アイツらだって……優しいよ……」



男達がいなくなった安心感からか、不思議と次々に言葉が出てくる。


あたしが、ずっと、言いたかったこと。


竜也はやんちゃで、近所の人とかに迷惑かけた事あるけど……。


ホントは誰よりも優しい……。


草太が、かなめが、あたしが、竜也のこと思い出したくなくても。


その事実は一生、変わらない。









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