放送部からお伝えします
「……竜也が好きだった」


そう聞こえないように小さくつぶやくと、川岸は大会が開かれてるほうを見る。


聞こえてたみたいだ。

まだ竜也が生きてたら、大会でまた優勝でもしてんだろうな。


学ランを軽く羽織ってカバンを持つと、俺は早歩きでrlappを出た。

後ろから川岸が連いてくる。



「昨日、梨衣子さんがいなくなったの! 何か知ってる!?」


荒れた口調の声が聞こえたけど、一瞬意味がわからなかった。


「昨日から家に帰ってないの! 学校にはインフルエンザだって言ってあるけど……」


その言葉でやっと意味が伝わって、俺は足を止めた。



「……何も知らない。初めて聞いたし」


「そう……」



俺は今どんな顔してんだろ?

川岸に動揺してるのを知られたくなくて、振り返ったりはしない。


家出なわけないよな……。








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