放送部からお伝えします
川岸さん
「体調悪い……」
今日、俺は教室の机に寝そべっていた。
「草太、そこ俺の席!」
同じクラスで同じ陸上部の紀之が、俺の座ってる椅子をガタガタ揺らす。
俺は、廊下側の列で、真ん中らへんの紀之の席に座っている。
「いいじゃん、別に。俺の席中央なんだよ……。ここのほうが風当たる……」
俺はぐったりした声で答えた。
「ほんとに大丈夫か!? 保健室連れてこっか?」
まだ昼休みの時間だし、と紀之は俺に肩を貸そうとする。
「いい……。帰ったら寝る」
俺は紀之の腕をどかして、椅子から離れた。
「白川のインフルエンザがうつったのか?」
紀之がつぶやく声が聞こえる。
梨衣子はインフルエンザじゃないから、うつるわけない。
俺は昨日、梨衣子が帰って来ないと聞いて、なかなか眠れなかった。
いつも目覚めいい俺に、寝不足がダメージを与える。