放送部からお伝えします
校門から一歩出ると、門の横にいた人に驚いた。




「川岸さんっ」


川岸さんが黒のスーツを着て、腕を組んで立っていた。

俺に気づいたようで、川岸さんがメガネを直す。

父さんがよくするその仕草は、まさにエリート社員のようだった。



「もう終わりなの? 最近の中学は帰りが早いのかしら……?」


時計を見た川岸さんが、何故ここにいるのか察した。


ずっと待ってたんだ。


俺は川岸さんが何の為に来たのか、だいたいわかった。

それを知ってても、俺は無視して避けようとした。



「話を聞いてほしいの!」


腕をひっぱられて、俺は想像以上に強い川岸さんの腕を見た。

前から感じてたけど、後ろにまだ先輩がいる。



「……わかりましたから場所を変えましょう。ここでは邪魔なんで……」


先輩が、と言いそうになる口を閉じると、後ろから舌打ちをする音が聞こえた。


先輩は何を期待してたんだ?


俺は少しだけ首を傾げ、川岸さんを案内した。








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