放送部からお伝えします
黒猫は川岸さんのほうへ寄って行き、川岸さんは猫を抱き上げた。



「……この猫は?」


ただでさえ“黒猫の雑貨で埋めつくされた店"は不思議なのに、本物までいた。



「……その猫、この店で飼ってるんですよ。オーナーさんが好きみたいで」


「そうなの……」


川岸さんは黒猫を気に入ったみたいで、何度も撫でている。



「いつもは外に出てるんですけど……」


「可愛いわね……って草太君……」


「はい?」


いきなり俺にフッた川岸さんを、首を傾げながら見た。




「……どうしてそんなに離れているの?」



……あ。


俺はいつの間にか、椅子を川岸さんからかなり離れて座っていた。

店の端から店の端までの距離。


別に、川岸さんがいるからじゃなくて……。


俺は急いで元に戻った。

それと同時に、川岸さんは猫を床に置く。









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