放送部からお伝えします
梨衣子を助けたくない訳じゃない。


かなめは、そんなに薄情な奴じゃない。



……てことは“意地”ってものが、かなめにへばり付いてて。



「……かなめが、梨衣子見捨てられるような奴じゃないって、知ってるから」


かなめにはケータイから俺の声が伝わっている。

そうじゃなくて、この部屋からかなめに届くように、俺ははっきり言った。



「……明日の朝、登校の前にbcaysで待ってるから」




ピッ



ケータイを切って、勉強机の上に置く。

椅子にもたれるように座り、天井を見つめた。




「“意地”なんかに負ける奴じゃないって、信じてるから……」


今度はどんな風でも消えない、堂々とした声で呟いた。









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