放送部からお伝えします
その頃草太は廊下にいた。


「おじさん……」


「どうしたんだい?」


草太は悲しそうな顔で、脚立に乗っている竜也の父親に話し掛けた。


「今めっちゃ忘れられてる気分です……」


放送部室から離れている廊下でも、賑やかな声が聞こえてくる。


「いつか思い出してくれるさ……」


意味が伝わった竜也の父親は小さく慰めた。


「よし、付け終わった。これで全部かな?」


竜也の父親が草太に話しかける。


「えっと……下駄箱に階段に……。はい、これで全部です」


二人は今、防犯カメラを取り付けている。

放送部室につなぐため、他に防犯会社の従業員などもいる。


「本当に今日だけなのかい?」


「いいえ。上手く取り付けられたし、理事長に話して残してもらいます」


最初は、取り付けてタケルを捕まえたら外すつもりだったが、上手く出来ているため仲の良い理事長に頼もうと考えた。


「あっちょっと失礼します……」


草太はそう言って、階段を2、3段上がった。









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