放送部からお伝えします
―校門前―



「竜也、調子は大丈夫?」


川岸が竜也を見ながら聞く。


「うん」


「今からどうする?」


川岸と竜也の父親が揃うのは久しぶりで、竜也は頬を緩ませる。


「先に放送部室に行くよ」




愛しい人が、向かってきてくれる。


楽しみにしてた瞬間が、すぐそこにある。


『そろそろネタが無くなってきたんで、昔話します!』


『むちゃ振り……。むかーしむかーしあるところに、一人の少年がいました』


「きっちり話してんじゃん!」


廊下のツッコミどおり、梨衣子が言ったあと、すぐに草太が続けた。


『その少年には3人の幼なじみがいました。ある日、少年は事故にあってしまいました』


「この話もネタ出来てんじゃん……」


『幼なじみ達は悲しくて、途方に暮れましたとさ』


「何その話!?」


「めっちゃ悲しい……」


梨衣子が最後に言った話は何かを連想させた。










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