放送部からお伝えします
レジをなるべくはやく済ませ、店を出る。

ドアの横に置いてあった自転車を手で押しながら、彼女を家まで送っていく。


その間、部活の話だとか、大会の成績だとか他愛のない話をした。



「あっ、家ここだから……」


彼女が駆け出して、家の門を開ける。

少し経って、こっちへ振り返った。



「あのっ上がってく……?」


いきなりきた彼女の発言に、驚きを隠せなかった。


ただの考えすぎかもしれないけど、真っ暗でいかにも“留守”って感じの家。

そこにデート帰りの中学生カップルの二人きり。


思春期のせいか、いろいろと想像が浮かんでくる。



「いっ、いいよ。明日はやいし!」


俺は自転車にまたがって、カゴに乗せていた彼女の鞄を渡した。






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