放送部からお伝えします
『一年生から静かに教室に帰りましょう』
体育館での始業式が終わり、ザワついているところ。
先生が半分叫びながら、マイクで指示を出す。
体育館から3年生の教室までは近いから、一番最後に帰ることになってる。
だから、下級生達が出ていくこの間はヒマなんだ。
「終わったよ」
そう言って、沢子はあたしを起こす。
プチ睡眠不足なあたしは、式の途中でも寝てしまう。
「ありがとう……」
もう体育館から出る番なのか、みんな立ち出す。
あたしも眠い目をこすり、遅れながらも立ち上がった。
――あの日以来、川岸さんとは一回も会ってない。
安心してるはずなのに、何かが胸につっかえる。
あれから全然寝れてない。
川岸さんは何をしたいんだろう?
もしかして、本当は興味本位だけじゃないのかも……。
――そんな事ないか、と後で思いながら教室に入る。
「今日から本格的に受験生として……」
担任が口を動かしてるけど、なんの話をしているのか今のあたしの耳には入ってこない。