放送部からお伝えします
「梨衣子っ、梨衣子っ!」



沢子の声に反応して顔を上げる。

辺りを見回すと、教室にはあたしと沢子以外、誰もいない。

窓ガラスもオレンジ色に染まっている。



しくった……。



あたしの前に立つ沢子は少し怒っている。



「ほらっ帰るよ。門、閉まっちゃう」


「はーい」



沢子のいうことを聞き、カバンを持って教室を出た。



沢子が教室の明かりを消している間、あたしはソソクサと階段を降りていく。


沢子待ってても、どうせおいてかれるし。


自分の運動神経の無さくらい、痛いくらいわかってる。

靴を履きかえているときには、もう追い付かれていた。



「そうだ梨衣子! 最近遊んでないし、どこか寄ってかない?」



沢子の提案を、あたしはもちろん引き受けた。






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