放送部からお伝えします
「……竜也」
公園の入り口の横にある花壇。
何も植えられてない花壇の代わりに、花瓶が一つ。
……その中には、白い菊の花が一輪。
そこに、竜也がいるのを感じる。
あたしはその前にしゃがんで、袋から黒いニット帽を出した。
「……竜也、こういうの好きでしょ?」
竜也の白い肌に、よく合ってた。
「一応、もう秋だからね」
日がおちるの長いから、まだ夏みたい。
「プレゼントとかいつも緑色だったでしょ? その度に竜也、草太に交換って言って」
「でも、結局そのまんまで。草太も頑固だったよねぇ……」
竜也の少しムキになった顔が思い出されてくる。
がっかりした顔も、少しひがんだ口調も好きだった。
「……最後の一回くらい、かえればよかったのにね」
……でも、死んじゃうなんて誰も考えてなかったから……。
いつも、そばにいると思ってたんだ。