お腹が空きました。
恋愛はしばらくいいやとかこの前思ったところなのに私…っ‼
体を泡立たせながら紗耶は先ほどのもろもろを思い出してまた頭を噴火させる。
あの杉崎さんと杉崎さんが杉崎さんで‼
紗耶…と、かすれる声で囁かれたのを脳内でリプレイしてしまい、必要以上にふくらはぎをわしわしわしわし擦りながら紗耶はぶっ倒れそうになった。
…
「あの、服お借りしました…。」
おずおずと扉から出て来た紗耶は、キッチンでスープをよそう杉崎を遠慮がちに見上げる。
紗耶にはだぼっとしたTシャツに、紗耶が吐くと7分丈になってしまう短パン。
「おー、出たか。遅ぇから風呂場で転けて頭でも打って倒れてんのかと思った。」
悔しいぐらいいつもの彼に戻っている杉崎に、紗耶は未だにドギマギしながら答える。
「大丈夫です。ギリギリ倒れませんでしたから。」
杉崎の事を考え過ぎて倒れそうになったのは今後も秘密だ。
結局転けてんのかよ、とクスクス笑いながら杉崎はゆげの上がるチャーハンと軽いスープをテーブルに置いた。
席につきながら紗耶は胃袋に直接クる香ばしい香りに鼻が引き寄せられる。
「美味しそう…っ」
「当たり前だ。俺が作ったんだからな。」
当然とばかりに杉崎は言ってのけ、向かいあって手を合わせた。
「頂きますっ。」