お腹が空きました。


「おーーはようございます…」

んあ?と振り返る腰エプロン姿の杉崎は、窓からの光をキラキラ浴びていて。

紗耶の姿を確認すると、フライパン返しを持ちながら珍しくフッと優しい微笑みをこぼした。

「やっと起きたか寝坊助野郎。さっさと歯磨いて顔を洗って来い。」


お母さんか。


なんかこの感じデジャブだなぁと寝癖の頭をかきながら紗耶は、ハーイと返事をし洗面台にとぼとぼ歩く。

はー、というか。


「(なんかよくわかんないけど杉崎さんが格好良く見えるーーーーっ‼‼)」


セットしていない髪の先が少しくるんとなってて。

ラフなシャツにチノパン姿の杉崎がやたら新鮮で。


振り返ったときのふいの笑顔は反則だろうとシャカシャカシャカシャカ歯茎が痛いぐらい紗耶は歯を磨いた。






「わぁーー…っ」

新鮮なクレソンとトマトのサラダ。

香ばしいベーコンをひいたぷるぷるの目玉焼き。

三枚重なった薄いけどふわふわのパンケーキ。

その隣にはバターとサワークリームが添えられ、傍らに杉崎がコトンとミルクを置いた。

「なんですかこの素敵オサレ朝食‼杉崎さんいっつもこんなの作って食べてるんですか⁈」

「そんな訳ないだろ。お前がいるからだな、、あー…。」


まあ、日曜だしなぁ…と言い訳のようにそう付け足して、杉崎は雑誌を広げる。


紗耶はキョトンとしながら料理に視線を戻した。


美味しそう…。


そっか、ちょっと頑張ってくれたんだ。

なんだか紗耶はとっても嬉しくなってへへへへと笑う。


「ありがとうございますっ、杉崎さん。」

「いいから早く食え。」


ブスっとしながら再度雑誌に視線を下げる杉崎に、紗耶はニッコリ微笑んだ。



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