お腹が空きました。
「アハハうまいこと言うねぇ。でもちょっと酷くないか?」
グスンと泣くふりをしながらも牛野はすぐニヤリと笑って紗耶の隣にストンと座り直した。
「あいつ口悪いだろう?紗耶ちゃん苦労するよー?それに潔癖性だし隠れマザコンだしなんか俺に厳しいし。ね、今の内に俺に乗り換えない?」
バシンッと牛野の頭部に杉崎の平手打ちが炸裂する。
「だから触んなって。俺のだぞ。」
うおーっと痛がる牛野の前に杉崎はいつの間に作ったのかつまみとビールを出した。
「うちにあった冷えてる方。」
「お、サンキュー。」
「それと、ある事ない事吹き込んでんじゃねー。」
はぁ、とため息をつきながら杉崎もどかっとソファに座る。
自分の席に戻りながら牛野はしれっと言った。
「本当の事だろう?」
「ほー。昼メシいらねぇんだな?」
「ごめんごめん。センスがあって綺麗好きで家族思いなんだったな。」
そう言い直しながら牛野はプシッとビール缶を開けた。
仲の良さそうな二人を見ながら紗耶は小さくクスクス笑う。
会社とはまた少し違う二人の砕けたやりとりに新鮮味を感じた。