お腹が空きました。
アハハと爽やかに笑って牛野が尋ねる。
「最後に機嫌悪かったのいつ?」
「うーん、そんなにはないんですけどね、あっ!昨日!私が貰ったのに、杉崎さん不機嫌そうに全部ケーキ食べちゃったんですよ!酷いですよね。ね!食べ物の恨みはそう忘れませんよ私。」
「ん?くれたのって、男?」
「え?男、っていうか、まだ学生さんですよ。男とかそういうんじゃ…」
「え、不機嫌だった時ってそんな事ぐらいなの?」
紗耶はうーんと過去をさかのぼり、頷いた。
「まぁ、特には。基本杉崎さん楽しそうですしね。生活をエンジョイされているというか。ニコニコまでいかないんですけど、こう、ニヤリって笑ってて楽しそうに作業されてます。」
紗耶は杉崎のニヒルな笑い方を真似しながらビシッと格好をつけてみた。
「ぶはっっ!似てる!!」
「ですよねですよね!ちょっと練習してたんですよ!」
「おい、それ誰の真似だ。」
背後に重々しい空気が漂い、紗耶達はビンッと背筋を伸ばす。