お腹が空きました。
「誰のでもないよー。紗耶ちゃんから惚気話聞いてただけー。」
「ぇ…惚気⁈違います違いますっっ!」
紗耶は驚きワタワタ手をバタつかせながらテーブルに戻る牛野を目で追いかける。
「おーーっ!パエリア‼」
平らなパエリアパンに魚介類がふんだんに並び、その横には肉の塊を煮込んだものと、生ハムが乗ったサラダが用意され、紗耶は感嘆をもらした。
「パエリアとか家庭で作れるもんなんですか!?」
「作れるんだから仕方ねぇ。」
しれっと言い渡し、早く座れと杉崎は椅子を引く。
「なんというか、エビが食卓に並ぶと華やかになりますねー。」
「エビを選んだ俺、天才ー。」
紗耶達も席に付きながら手を合わせ、目をキョロキョロ動かし、品定めし始めた。