お腹が空きました。
耳打ちする牛野に紗耶は雑学を一つ学んだように「へーーーーー。」と頷く。
「なにやってんだお前ら。」
ベリっと杉崎が牛野を引き剥がし、目の前にドカッとおつまみを置いた。
エリンギのバターソテーに牛野はテンションを上げる。
「次触ったら二度とつまみ作らんからな。」
「ごめんって。そんなんじゃないよねー紗耶ちゃん?」
「あ、はい。」
こういうのが普段の二人のやりとりなんだろうなと紗耶は納得する。
牛野にからかわれた杉崎はムスッしながらソファに座った。
それにしてもショウコちゃんにミナミちゃんにアイちゃんかぁ。
具体的に名前を聞いてしまうと、少し妬ける。
「…おい。」
「はい。」
紗耶は気まずそうな顔をする杉崎をキョトンと見上げた。
「…何吹き込まれたんだ。」
んー、と紗耶は考える素振りを見せる。
そしてニッコリ笑って人差し指を揺らした。
「ショウコちゃんとか?」
「!」
「ミナミちゃんとかアイちゃんとか?」
「牛野お前なぁ…!」
ぐぇーっと首を締める真似をして杉崎は牛野をぐわんぐわんと揺らす。
ぐらぐら揺れながら牛野はしてやったりと楽しそうに笑った。