お腹が空きました。
「あーやっぱ私の柄じゃない!止めた止めた。」
その言葉に紗耶は由美を見上げる。
「もう考えない。気にしない。うじうじしないっ。さー仕事しよ。」
席を立って紗耶を待つ由美に、おぼんを持ちながら紗耶は困ったように笑った。
「由美ちゃんはそーやってまたすぐ無理するんだからなー。」
前を歩く由美は振り返らず答える。
「別に無理とかしてない。止めただけ。」
「…大丈夫だと思うよ。」
「なにが?」
由美が首を傾げて振り返った。
「色々。なんとなく。」
「…そりゃまた根拠のこの字もない自信と笑顔で。」
呆れる由美に紗耶はカラカラ笑った。
だって本当になんとなく、大丈夫だと思うのだ。
彼の、由美を見つめる瞳の暖かさを思い出し、紗耶はニッコリ微笑みながらおぼんを返却口にコトンと置いた。