お腹が空きました。
ふ、普通…ね。
なんだかガクッとうなだれてしまった紗耶に、杉崎は更にたたみかけた。
「確かに細くはない。細くはないが太ってもない。普通だ。普通。この寸胴娘。」
「寸胴は余計な気がするんですが…。」
いや、分かっている。
多少口が悪くても、杉崎さんは杉崎さんなりにフォローしてくれていると。
紗耶は眉を八の字に曲げ、困ったように笑った。
「…なんか、あの、ありがとうございます。でもとりあえず会社に迷惑かけない程度に、頑張ってみます。」
軽く腕を握りしめ、また小さくガッツポーズを取りながら、紗耶は扉を開いて会社を後にした。
あ、月が青いや。
夜でもほんのり白っぽい空に、小さく浮かんだ月を見つめ、ヒールを鳴らす。