お腹が空きました。


慌てる紗耶を見ながら、頬杖を付いた由美が事も無げに暴露した。


「そーそー、もう諦めちゃいなさい。あんた充分痩せの大食いの部類に入るわよ?彼氏に浮気されて別れた腹いせにダイエットしたところでね、良い事なんてこれっぽっちもないんだから。」


「ゆ、由美ちゃんっ!シーッシーっ!!」


思わず立ち上がり、紗耶は口元で人差し指を立てた。


牛野は目を丸くし、口を開ける。



どうやらそもそも紗耶が誰かと付き合って居たこと事態知らなかったようだった。




「へー、そうなの?」





「ほーーう?」


ひぃっ


牛野の明るい声に重なって、聞き覚えのある重低音が耳をかすった。



まさかと思って振り返ると、案の定腕組みをした杉崎がこちらを見ながら眉間にシワをよせている。


怖い。


ハンニャがヒクヒクと無理やり笑っているような顔をしていた。


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