お腹が空きました。


ゆ、由美ちゃん…!


ばっと視線を逸らし、由美に助けを求めるも、ちゃっかり彼女はパソコンに目を走らせ指はキーボードを鳴らせている。


「(相変わらず素早いね!)」


思わず金メダルを渡したくなる早技に感心しつつも、紗耶は冷や汗を流しながら牛野をクルリと振り向いた。


その「助けて!」な視線に牛野はクスッと微笑み、杉崎の肩に手を置きながらまーまーと助け舟を出す。


「杉崎、そんな怖い顔しないで。」


「牛野、何お前も一緒になって遊んでんだよ。てか自分の部署戻れ。」


一時的にはんにゃフェイスをしまい込み、杉崎はふぅとため息を付いた。


ため息に、どうして同期に説教しなきゃなんないんだという意味合いがありありと込められているのを、牛野はサラッと無視しニコニコ応える。


「だって俺の席の周り女の子いないし。それに休憩中だしねー。杉崎ーそんな怖い顔してたら男前が台無しだよー?あ、これさっき言ってた企画書の手直し。部長好みにしておいたから、まぁ通るだろ。堅田さんにも言っといて。あ、それとねー、」


「んあ?」


「紗耶ちゃん、彼氏と別れたらしいよー。」


う、う牛野さん!?


そう爽やかに去っていった牛野に杉崎は吐き捨てるように唸りを上げる。




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