お腹が空きました。
「さっき聞いた。そんな事より、報告書の入力終わったのか。」


威圧感たっぷりな空気に押されて紗耶はものすごい速さで書類を差し出した。

「こちらです!」


あっぶなーいっ


今さっき終わっていた事に感謝し、ん、とだけ言って去っていく杉崎の後ろ姿をみながら紗耶は胸をなで下ろした。

「…それ、間に合ってなかったらヤバかったわね。」

「危機一髪…。」


自分の事は棚にあげ、紗耶達は怖い怖いと仕事に戻る。


「まぁネチネチしてないだけいいけど。」


「そだね。」

本当に、あんな辛口な人が、あんな甘くて美味しいケーキ焼いたんだろうか。


「にわかに信じがたいっす…。」


「え?何?」


何でもないと言い残し、二人は再び画面に視線を戻した。











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