お腹が空きました。


「あの、実はそちら…」


「お待たせーっ!ごめんなさいね、電話してた時間から遅れて!」

 
ドン!という凄まじい音と共に紗耶の真横に身なりの綺麗なご婦人が姿を表した。(どうやらカバンをおいた衝撃の音のようだ。)


「もう自宅パーティーの準備に手間取っちゃってー、孫がね、くるのよー、しかも全員!!何年ぶりかしらー全員そろうの!…ってあらあら?」

ウキウキランランのご婦人とバチっと目があってしまい、紗耶は少し背筋を伸ばした。


ご婦人は笑顔のまま目をキランと光らせる。


「あらダメよー、あなた。ここは人気店なんだから、私みたいにちゃんと予約しないと。ほら、ここみなさい、ケーキの横。ちゃんと【予約済】の札が並んでいるでしょう?このお店はね、たいがい夕方には完売済みなのよ。」

紗耶はその言葉を聞いてすばわくガラスケースの中を覗き込む。



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