お腹が空きました。



ガシャン!



すぐ後ろの方でシャッターが結構な音を立てて閉まった。


何故かその音が悲しく心に振動を与える。


あ、ダメだ。

また暗くなっちゃった。


灰色に戻った胸奥を奮い立たせるように紗耶は勢い良くヒールを鳴らそうと地面を蹴った。

ダメダメダメ!今日は元気良くやけ酒なんだから…! さぁ前に進めわた…







ぐにゃ




紗耶は足裏の妙な感覚に表情を固めた。



…。







ガム踏んだ…。







ヒールの裏をゆっくり確認しながら紗耶は悲しくなる。


なんでよりにもよって最近おろしたばっかりのヒールに。


あああああ…。


道端に転がっていたちょっとした不幸に打ちひしがれていると。



ポタ


ポタ





ザァァァアァァァ…





…。




雨だ…。


…。




「……。」




ここに来て雨。


まさかの雨。



…。




「………うっ…。」



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