お腹が空きました。
胃に穴が開きそうです。
◆
…なんで、私こんな所に居るんだろう。
と、言うのが紗耶の素直な感想である。
ちょこんと部屋の真ん中に正座をし、ひたすら冷や汗を流すのに忙しい。
目の前に置かれたティッシュは一枚鼻をかむ程度に収まった。
(何故なら涙はとうの昔に引っ込んだから。)
奥のキッチンからぬっと長い足が出てくる。
のっしのっしと近づいて来たそれは、緊張したまま下を向く紗耶の前にコトンとココアを置いた。
「す、すいません。」
「熱いぞ。」
キッチン側のソファーにドカッと座った杉崎は、自分にも入れたココアをゆっくり喉へ傾けた。
「…、ソファーに座れば?」
「は、はい。」
カーペットの上で正座していた足を崩し、紗耶は真後ろにある黒色のソファーに腰を降ろした。