お腹が空きました。
細い。
傍らには、折れそうなほど細くて華奢な女の子。
…衝撃だった。
なんとなく疑問に思っていたことがすべて繋がる。
大学院に進めたのになんで留学?
しかも急に?
なんで急に別れるなんて言い出したの?
なんで待つって言ったのにそれでも別れを選んだの?
全部がなんとなく線で繋がったぐらいに、ちょうど白い仕切りで見えないけれども声だけはばっちり聞こえてしまう隣の席に良介は座った。
わざわざそんな席を選んでしまう良介の運を可哀想に思う。
…いや、運が悪いのは自分の方か。
良介と先日そんな理由で別れた事を知っている友人は、怪訝な顔をしながらも紗耶に付き合って黙って事の成り行きを見届けていた。
程なく隣から注文を選ぶ声と二人の甘い会話が聞こえてくる。
付き合いたて特有の、ピンクで甘酸っぱい雰囲気がビシバシと流れてきて。
紗耶は既に泣きそうだった。