お腹が空きました。


いや、本当はケーキ売り切れててついでにガム踏んで、雨まで降ってきて、なんかもう泣きっ面にハチ状態だったんです、…とも言えず。


紗耶は杉崎の意外な優しさに目を細め、そういえば、と、ふと質問した。


「…そういえば、杉崎さんはなんであんな所に?」


「あ、ああ…」


今度は何故か杉崎の方がうろたえ、少し口ごもった。


「?」


「……、あれ、俺の実家。」


「…?!」


……え!!


あのギンガムチェックでキュートでファンシーなお店が?!


目を丸くした紗耶を横目で見て、杉崎はハァとため息をついた。




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