お腹が空きました。
「…またどうせ似合わないとか思ってんだろ。」
「え、…なんで分かったんですか?」
「………やっぱりお前は一回しめておかないといけないらしいな。」
や、止めて下さい!
紗耶はひぃと息を飲みながら、ギロリと光る瞳から逃れようとソファーの端に腰を寄せた。
「勘違いすんな。間違ってもあのキャピキャピした店の面構えは俺の趣味じゃねぇ。…甥っ子がな。」
「甥っ子さんが?」
「誕生日だったんだ。4つになったんだが、そいつになんかやらねえとなと思ってな。」
一瞬、ふと表情がやわらいだ狼さんにつられて、紗耶もへらっと少し微笑んだ。
杉崎が甥っ子を可愛がっていることがよくわかる。
「へぇー喜んでくれました?」
「おぅ、戦隊モノの変身グッズやったら死ぬほど喜んでた。」
ニヤリと笑って杉崎は顔に手をやる。
それは良かったと紗耶はもう一口ココアを両手で傾けた。