お腹が空きました。
食いきらないと次に行けない。
紗耶はふと杉崎の皿を見る。
小さく分けられた一切れをやっとの事で完食してあった。
「…え?杉崎さんって、…もしかして、甘いもの…嫌いなんですか?」
信じられないという目で紗耶は杉崎を見つめる。
「馬鹿やろっ、なんで嫌いなものわざわざ作んないといけないんだよ。」
どうやら違ったらしい。
不思議そうに見つめると、杉崎は気まずそうに一つため息をついた。
「俺は食べるっていうより作る方が好きなんだ。普通の飯ならガツガツ食えるがな、甘いもんは一切れでいいっつうか…。好きは好きなんだが、とりあえず量は食べられん。…ある意味お前がすごい。」
「え?」
と、顔を上げた紗耶はなんだかんだいいつつ3切れ目だ。
「やっ!私も普段は一切れで我慢出来るんですよ!ただ久しぶりだし、美味しいし、フォークが止まらないっていうか。」
モグモグと口を動かしつつ紗耶は下を向く。
それを見て杉崎はクスリと笑いながら膝に手をついた。