お腹が空きました。
嫌いなものでも今なら食べれそう。
◆
ぐるぐるきゅー
ぐるぐるきゅーー
「…。」
ぐるぐるきゅー
「…、ね。その漫画みたいな音、マジなの?」
「…だって、しかたないじゃん。勝手になるんだから。」
腹の音色は自分で決めれませんから。
紗耶はパソコンに向かいながら由美に答えた。
「…あんたダイエット止めたんじゃなかったの?」
「やめたよー。」
こっそりパソコンの上から覗き込む同期に、紗耶は画面の中の数字から目を離さず肯定する。
「じゃあいつも驚愕するぐらい食べてた補助食は?」
「あー…、配給制になったから。」
「???」
は?っと首を傾げる由美を残し、紗耶は入力が終わった資料を納品棚に直しに行った。
はぁ…。
紗耶は棚の死角に手を置いてため息を突く。
昼は前みたいにたらふく食べた。
なのに、何でこんなにお腹がすいてしまうんだろう…。
「(うううう…っ、杉崎さんいつ配給してくれるんだ…。)」