お腹が空きました。
「おい、室内。」
「はい。」
「ちょっとこい。」
眉間にシワを寄せた鬼係長に、周りの社員はビシッと固まった。
「“説経部屋”行きか…。」
「室内何やらかしたんだ…。」
こそこそ聞こえる声に振り向きもせず杉崎は前を歩く。
説経部屋、もとい、第2応接室はほとんど使われる事もないので、よくすごいミスやらかした社員をシバきあげる黒い部屋となっている。
その部屋に入って出てきた者の半数は大泣きか半泣きになっているので、若い社員からはかなり恐れられていた。
バタン…
くるりと杉崎が紗耶の方を振り返る。
「なんだこれは。」
突きつけられた先ほどのメモ用紙には、でかでかと
『糖分』
と、書かれていた。
「糖分てなんなんだ。糖分て。」
「…言葉通りの意味です。」