お腹が空きました。
コロン…。
「……………え。」
シャカシャカ、という音と共に手のひらに転がってきたものは。
「…フリスクって。フリスク一粒って…っ!」
「じゃーな。」
「杉崎さん…っ!!」
半泣きになりながら紗耶は杉崎を呼び止めた。
「…あぁもう分かった。分かったって。」
杉崎は降参、とでも言うように軽く両手を上げ、振り返った。
「ケータイ貸せ。」
「え?あ、はい。」
紗耶は慌てて携帯を取り出す。
ん、と杉崎は携帯を受け取り、慣れた手付きで自分のものと二つ同時に操作し始めた。
パタン。
「ほれ、今日作ってやるよ。後で連絡する。」
ぽいっ、と携帯を渡され、紗耶は目をぱちくりさせた。
…
「さ、紗耶…大丈夫だった?」
「うん…。」
「わー、あんた涙目じゃん…。」
同情の瞳で見つめられた紗耶は、フリスクを一粒口に入れながらパソコンに向きなおった。