お腹が空きました。



バタンっ


「ほれ、終了。室内、帰るぞ。」

勢いよく扉を開けて入ってきた杉崎に紗耶達はビクッと肩を上げてそちらをみた。


「…あ?何だ?」

怪訝な顔をする杉崎に亜栗は笑顔で答える。

「なんでもなーい。モモは?」


「あぁ、キャンキャン言うから買い出しに行かせた。」


「相変わらずわんこ扱いだね…。あ、そうちゃんは?」


「…泣きそうになってんぞ。手伝ってやれよ嫁さん。」


「私が手伝ったら、この店終わるわよ?」


「…そうだったな。とりあえず降りるぞ、室内。」


「あ、はい。」

手招きをされ、紗耶は椅子から立ち上がった。





亜栗の後に続きながら紗耶は階段を下りる。


「私ね-、なんでだか分かんないんだけど、昔っからスイーツ限定でトラブルメーカーでね?作ってる最中に私が手を加えるとろくでもないことばっかり起こるのよねーー。あ、業務用オーブン爆破しかけた事もあったわーアハハハ。片付けすんごい大変だったのよー。でもラッキーよね、こんな私に素敵なパティシエのお婿さんが来てくれるんだもん。世の中分かんないものよー?」


「爆破…。」


ケーキでオーブン爆破って……そんなことあるの?

「その“素敵なパティシエ”さんがヒィヒィ言ってたんだが?誰かさんが引き受けたむちゃなご依頼のおかげで。」


冷や汗を流す紗耶の後ろでめんどくさそうに杉崎が言った。











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