お腹が空きました。
…
「いちくーーん!!!帰らないで手伝ってよーー!」
下に降りると、
「途中まで手伝ったじゃないですか…。嫌ですよ。」
厨房の奥に、キラッキラした男の人がいた。
げんなりしている杉崎にすがりつくように駆け寄ってきた男性は、まさしく“メレンゲ男子”。
ふわっふわの色素の薄い髪にキラッキラの王子様みたいな瞳。
甘くたれた目元にお人形のような整った目鼻立ち。
それが杉崎に甘えた声色で袖や腕を引っ張っている。
「亜栗さん…。」
「ん?なに?」
「あんなのどこで捕まえたんですか。」
目を点にしている紗耶に亜栗はアハハハと笑った。
「うちの看板パティシエでーす。」