お腹が空きました。

ブスッとしながらも紗耶は料理を口に運ぶ。


くそう、本当に美味しい。


ただのご飯と野菜炒めと玉子焼きのはずなのに、何故こんなに美味しいのだろう。

なんか違う。

隠し味でも入れてあるのだろうか。

そういえばご飯粒の艶さえ違う。

玉子焼きふわっふわ。

野菜炒めちょっととろみがついてて味も絶品で香ばしくてとにかく最高！


んーっ！


気がつけば、紗耶は笑顔で箸を進めていた。


「…フッ。」



「…なんですか？」


鼻で笑われた気がして紗耶は顔を上げた。


するとそこには、


「なんでもねーよ。」


いつもの邪悪な感じではない、


普通の笑顔の、普通の杉崎がいて。



…。



「(私ホントにあの鬼総長と部屋で夕ご飯食べてるんだよね…。)」


紗耶は不思議な気持ちをキャベツと一緒に呑み込んだ。