お腹が空きました。

お腹からちょっとした騒音が聞こえます。







「さてと…。」


「わーい待ってました-ー。」

食器を片付け、キッチンを挟んで杉崎が鍋をコンロにセットした。

「楽しみです!鍋でなに作るんですか?」

台の上に両ひじを付いて、ふんふんと鼻歌でも歌い出しそうな紗耶に杉崎がぶすっとしながら視線をよこす。

「何高みの見物決め込んでるんだよ。ほれ、これ切っとけ。」


「ぉ、わっ、ええ?」

ポンと放り投げられたものを紗耶はわたわたしながら受け取った。


…クッキングシート?


手元にあるラップによく似た長細い箱を開けてみると

「かか可愛いーーー!こんなのあるんですねー!」

カラフルな淡いドット柄のクッキングシートがテーブルに広がった。

ひゃーーこんなの売ってるんだーー。

わぁーーーーっ

思いもしなかったものがふと可愛かったりすると、妙にテンションが上がってしまうのは何故だろう。

感動にも似たウキウキをいっぱいに背負い込み、紗耶は杉崎を見つめた。

ブスッと杉崎は口をへの字にしたまま、ひょいひょいと指で指示を出す。


「これを、そう…、そのぐらいに全部カット。」


「はいっ。」




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