お腹が空きました。





「まだですかー。」


「まだだ。」


「…まだですかーー。」


「まだだ。」


「………まだで「うるせぇ!!!」


そんなやり取りの末、杉崎はノーマルなクッキングシートをひいたトレーに煮詰まったものを流しいれ、とんとんとトレーを持ち上げ空気を抜いた。

「さて、粗熱を取った後、これを冷蔵庫にぶち込んで冷えたら包丁で切ると…なんになる?」


「ミルク飴ですか?!」

「惜しい。生キャラメルだ。」


生キャラメル‼

紗耶は目をキラキラさせながらトレーを見つめる。

30分間泡立つ鍋と格闘していた杉崎は軽く汗を拭いふぅと息をついた。

「まぁもうちょい煮詰めたらただのキャラメルになるけどな。粘りが出過ぎるともう生キャラメルとしてはアウトだ。あっつ…ちょいシャワー浴びてきていいか?」

「はーい。」

キッチン台をさっさと片付け、トレーを冷蔵庫に入れ、杉崎はバスルームに姿を消した。


そんな様子を見ながら、紗耶は静かに感心する。


杉崎は丁寧だ。

一つ一つの動きは早いのに隅まで丁寧に作業する。



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