恋……スル?-菅野 聡 編-
ヒ ミ ツ の素顔
「えっ!
聡の家って、こんな近くだったの!?」
昨日の夜分にリュウジと話した公園から、もう少し歩いた先にあるビルの隣のアパートだった。
そしてそのビルには“個別指導塾”って書いてあるんだけど…。
「うん。
夜はね、そこで講師をしてるんだ」
講師ー!?
子牛じゃなくて講師!!
え、聡ってば先生っ?
「ひゃあ…」
そう言われてみれば、先生っぽくも見えなくないかも。
私は聡のまわりをぐるーりと回りながら、改めて観察してみた。
「う 梅津さん?」
「うん!
聡ってば、先生かも!」
「だからそうなんだってば…」
ジロジロ見る私の視線に戸惑いながら、聡は自分のアパートの鍵を取り出してドアを開けた。