恋……スル?-菅野 聡 編-
「ただいまぁ……と」
誰もいないってわかっていても、「ただいま」だけは言ってしまうのは日本人の性かしら。
私は玄関のドアを開けて入ると、真っ暗な部屋の照明スイッチをパチンとつけた。
照明はチカチカと2~3回瞬いた後パッと明るくなり、朝バタバタしながら家を出たそのままの部屋の状態を照らした。
「はぁ……
最後に掃除したの、いつだっけ」
脱ぎっぱなしのパジャマ。
飲みっぱなしのビールの空き缶。
忙しいから、なんてのはただの言い訳。
それは多分、私の心に余裕がないからだ。
「…お腹すいた。
あったかいうちに食べよ」
私はさっきコンビニで買ったおでんと割り箸をテーブルに2つずつ取り出すと、そのままイスに腰をおろした。