恋……スル?-菅野 聡 編-
「じゃあ、楽しみにしてるよ。
僕は忙しいからこれで」
長い髪をパサリとかき上げた大沢さんはそれだけ言って立ち上がり、私たちの前から立ち去ってしまった。
な なんだったの、あの人はぁっ!
「梅津、ちゃんとお客様の需要メモしたか?」
「は?
専務、お客様の需要って…
あの人、僕に似合う指輪をデザインしてほしいんだって言っただけですもの。
メモも何も…」
「バッカもーん!
言った言葉を聞いただけじゃダメだって言っただろうが!
お客様の容姿、仕草、生活スタイル。それらを吟味してデザインするのがお前の仕事だろう!」
仕草に生活スタイル?
あの氷上の貴公子の?
「ううう~む…」
「例えば自分がデザインする指輪を、お客様の恋人と思えばいい。
どんな形、どんな輝き、どんな雰囲気。
それらを五感を使ってイメージしていくんだ」
五感って…もちろん味覚は入りませんわよね?
だけど、恋人…?
間近で見た時はドキッとしちゃったけど、でも顔すら忘れられちゃうんだもん。
大沢さんの恋人になんて…イメージ涌きにくいなぁ。
僕は忙しいからこれで」
長い髪をパサリとかき上げた大沢さんはそれだけ言って立ち上がり、私たちの前から立ち去ってしまった。
な なんだったの、あの人はぁっ!
「梅津、ちゃんとお客様の需要メモしたか?」
「は?
専務、お客様の需要って…
あの人、僕に似合う指輪をデザインしてほしいんだって言っただけですもの。
メモも何も…」
「バッカもーん!
言った言葉を聞いただけじゃダメだって言っただろうが!
お客様の容姿、仕草、生活スタイル。それらを吟味してデザインするのがお前の仕事だろう!」
仕草に生活スタイル?
あの氷上の貴公子の?
「ううう~む…」
「例えば自分がデザインする指輪を、お客様の恋人と思えばいい。
どんな形、どんな輝き、どんな雰囲気。
それらを五感を使ってイメージしていくんだ」
五感って…もちろん味覚は入りませんわよね?
だけど、恋人…?
間近で見た時はドキッとしちゃったけど、でも顔すら忘れられちゃうんだもん。
大沢さんの恋人になんて…イメージ涌きにくいなぁ。