恋……スル?-菅野 聡 編-
「……………………」
何をしに、どこに行っちゃったんだろう。
そう思いながら間もなく、金髪ヤンキーくんは暗闇から何やらガサガサとレジ袋の音を立てながら戻ってきた。
「ほらよ。
これだけありゃ、何でもできるだろ」
そう言って私に渡してきたのは、レジ袋いっぱいのたくさんの野菜だった。
「え?何コレ」
「見てもわかんねーのか、お前はっ。
どう見ても野菜だろ!」
いや、それはわかりますわよっての。
ジャガイモにキャベツにニンジンにピーマン、玉ねぎ…
とにかく、ありとあらゆる野菜たちが1つずつギッシリ入っていたのだ。
「まぁ、お勤め品だからな。品質はアレだけど、火を通せば問題ないだろうし、それだけあれば2人分くらい十分イケるだろ」
言われるように、確かに新鮮とは言えなさそうだけど。
でも何でヤンキーの癖にこんな種類豊富な野菜を…
と、チラリ側の閉まったシャッターの書かれてる文字を見てハッとした。
『八百屋の武藤』
この金髪ヤンキーくん…
ここの八百屋の息子なんだー!!